前回は、JJ CLUB 100の全国展開から上場、そして退任を決意するまでをお話ししました。
今回は、ネクストジャパンを去った後のお話。心がすり減り、抜け殻のようになってしまった私を救ってくれたのは、石垣島で出会った「読書」という時間でした。
想像以上にすり減っていた、自分の心

当時、私の手元にはストックオプションに加えて、自分のお金で購入していた自社株もありました。
ただ、正直なところ、それらを売却して利益を得ることには抵抗がありました。
なぜなら、当時の会社の利益は社員たちの長時間労働に支えられていた部分があり、純粋な会社の実力だけで生み出した利益ではないと感じていたからです。
「これらは頑張ってきた社員に還元してほしい」と申し出ましたが、会社から「制度上それは難しい」と言われてしまいました。
そんな中、当時から会社の会計顧問をしてくださっていた谷間 真先生(現:アンビシャス社外取締役)がこうおっしゃいました。
「田中さん、そのお金は、今後自分自身で事業を立ち上げる元手だと考えればいいんじゃないですか?」
つまり、受け取りを放棄するのではなく、それを元手にして事業を興す。そして、その事業を通じて世の中に役立つ人材を育て、社会に貢献していく、ということです。
この谷間先生の考え方に深く共感した私はこの後、「自分はどんな方法で社会に貢献できるのか」「どんな会社を作りたいのか」を真剣に考え始めようとしました。
ところが、思っていた以上に、私の心はすり減ってしまっていました。
心が壊れて、抜け殻になってしまった数カ月間
ネクストジャパンを退任した後もしばらくは、会社から頻繁に連絡が入ってきていました。
「田中さん、この会議だけでも出てくれ」
「どうしてもここをなんとかしてほしい」
といった色々な要望の連絡が数ヶ月ほど続きました。
辞めてからも頭が休まることはなく、思えば一種の「うつ」の症状がこの頃から始まっていました。限界をとうに超えるまで仕事に取り組み、突っ走ってきた代償に、私の心は完全に壊れかかっていました。
そんなある日、私の頭の中に、ふと一つの思いが浮かびました。
「よし、石垣島へ行こう」
振り返ってみれば、これまでの人生でろくに休みなんて取ったことがなかった私。石垣島には知り合いが住んでいて、「いつか遊びに来てよ」と言われていたのを思い出し、すぐに石垣島に向かいました。
しかし、南の島に着いたからといって、すぐに心が晴れるわけではありません。
ふとした瞬間に、ネクストジャパン時代の辛い記憶が鮮明に蘇り、絶えず色々な雑念や、「あの時こうしていれば…」という後悔が頭をめぐり、頭も心もすべて持っていかれそうになる。
自分が自分じゃなくなってしまいそうな、精神的にギリギリの状態にありました。
「自分はこのまま、頭がおかしくなってしまうんじゃないか」
そんな恐怖すらありました。
そこで、石垣島について私がまず最初に向かったのは「本屋」でした。
なぜなら当時、唯一、自分の精神を保つことができたのが、本を読む時間だったからです。
不思議なことに、本を開いてその世界に没頭している時間だけは、すべての雑念が取り払われ、心がすーっと落ち着いていきました。
言うなれば、一種のセラピーでした。
だからこそ、読む本が手元からなくなることが何よりの恐怖でした。
飛行機に乗る時も「もし機内で読む本がなくなってしまったらどうしよう」と怖くなり、常に2〜3冊は持ち歩くほど。
かつての私にとって、本はスキルやノウハウを学ぶための「道具」に過ぎませんでした。
でもこの時、本には、心が疲れ果てた自分が、自分であり続けるために必要な「命綱」のような大切な役割があるのだと、身をもって知りました。
ーー本はまさに、壊れかけた私の心を支える「命綱」でした。そしてこの石垣島での読書の日々が、やがて私の考え方の土台をつくり、アンビシャス創業へとつながっていくことになります。
次回は、数百冊の本から見つけた大切な教えについてお話しします。
【直近の活動報告】
過去を振り返る話が続いていますが、直近では経営会議メンバーを中心に1泊2日の経営合宿を行いました。当日の様子をnoteにまとめていますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/ambitious8_/n/n588b23001e47